アンティオキアの聖マルガリタ (カラッチ)

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『アンティオキアの聖マルガリタ』
イタリア語: Santa Margherita
英語: Saint Margaret of Antioch
作者アンニーバレ・カラッチ
製作年1599年
種類キャンバス上に油彩
寸法239 cm × 134 cm (94 in × 53 in)
所蔵サンタ・カテリーナ・デイ・フナーリ教会英語版ローマ

アンティオキアの聖マルガリタ』(アンティオキアのせいマルガリタ、: Santa Margherita: Saint Margaret of Antioch)は、イタリアバロック絵画の巨匠アンニーバレ・カラッチが1599年にキャンバス上に油彩で制作した絵画である。アンティオキアの聖マルガリタを主題としている。作品は現在、ローマサンタ・カテリーナ・デイ・フナーリ教会英語版に所蔵されている[1]

作品[編集]

作品は、ガブリエレ・ボンバージ (Gabriele Bombasi) によりローマのサンタ・カテリーナ・デイ・フナーリ教会において彼が取得した礼拝堂のために委嘱された[1]。彼はレッジョ・エミリア出身の学者で、ラヌッチョ1世・ファルネーゼオドアルド・ファルネーゼ (枢機卿)英語版のための家庭教師だったことがあり、オドアルドに仕えてローマに移っていた[2]。作品は、現在も上述の教会礼拝堂に掛けられている。

カラッチはレッジョ・エミリアで何点かの作品を描いたが、それらは1点も本来の場所に残っていない。1つの説によれば、アンニーバレがボンバージと接触したことが彼の画業にとって決定的であり、最初にオドアルド・ファルネーゼの関心を引いた理由であったのかもしれない。オドアルドは1595年、あるいは1596年にアンニーバレをローマに招聘し、アンニーバレが死去するまで自身に仕えさせたのである[3]。委嘱者ボンバージのはっきりとした望みで、本作はレッジョ・エミリア大聖堂英語版のために制作された『聖ルカと聖カタリナの前に現れる聖母』 (ルーヴル美術館) 中のアレクサンドリアのカタリナを少々変更して再現している[1][2][4]

アンニーバレ・カラッチ『聖ルカと聖カタリナの前に現れる聖母』(1592年)、ルーヴル美術館パリ

本作が完全にアンニーバレの真作かどうかについては、文献により異なる。ジョヴァンニ・ピエトロ・ベッローリの1672年の『芸術家列伝 英語版』では、作品は『聖ルカと聖カタリナに現れる聖母』にもとづいてアンニーバレの弟子ルチオ・マッサーリ英語版に模写されたが、龍と風景にはアンニーバレ自身が手を加えた[1]と述べている。ジュリオ・マンチーニ英語版の1620年の『絵画に関する考察 (Considerazioni sulla pittura)』では、代わりに作品は完全な真作で、ボローニャで制作された後、ファルネーゼ宮殿、そしてボンバージ礼拝堂に移されたと主張している。

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d St Margaret”. Web Gallery of Artサイト (英語). 2025年3月23日閲覧。
  2. ^ a b (イタリア語) Silvia Ginzburg Carignani, Annibale Carracci a Roma, Roma, 2000, pp. 89-92.
  3. ^ (イタリア語) Alessandro Brogi, in Annibale Carracci, Catalogo della mostra Bologna e Roma 2006-2007, Milano, 2006, p. 234.
  4. ^ Catalogue entry” (フランス語) (1592年). 2025年3月23日閲覧。

外部リンク[編集]