シャジクソウ

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シャジクソウ
長野県東信地方 2018年6月下旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : マメ類 Fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: シャジクソウ属 Trifolium
: シャジクソウ T. lupinaster
学名
Trifolium lupinaster L.[1]
シノニム
  • Trifolium pacificum Bobrov[2]
  • Trifolium lupinaster L. f. alpinum (Nakai) M.K.Park ex W.T.Lee[3]
和名
シャジクソウ(車軸草)[4][5]

シャジクソウ(車軸草、学名Trifolium lupinaster)は、マメ科シャジクソウ属多年草[4][5][6]。別名、カタワグルマ(片輪車)、アミダガサ(阿弥陀笠)、ボサツソウ(菩薩草)[5]

特徴[編集]

は直立または斜上して高さ15-50cmになり、束生し、ふつう分枝しない。茎の下部は無毛であることが多いが、上部は軟毛が生える。は互生し、ふつう5個の小葉が車輪状につくが、下部の葉は3小葉であることもある。葉柄はごく短い。小葉は狭倒卵形で、長さ2-5cm、幅0.5-1.5cmになり、縁には細かい鋸歯があり、先端は鋭形、基部はくさび形で小葉柄はない。小葉の裏面の葉脈の主脈と側脈が目立ち、主脈上にはまばらに伏毛が生える。ごく短い葉柄の基部に薄い膜状の托葉があり、鞘状に包んで葉柄に合着する[4][5][6]

花期は6-8月。茎の上部の葉腋から長さ5-30mmになる花序柄を出し、扇状の総状花序をつけ、10-20個のをつける。は5裂し、萼裂片は長さ6-8mmで、下側が長く、下部は筒状になり先端は針状にとがる。花冠は蝶形花冠で淡紅色から紅紫色、長さ12-14mmになる。旗弁が最も長く、翼弁、竜骨弁の順で短くなる。雄蕊は10個で2体雄蕊となり雌蕊1個とともに竜骨弁の中にある。果実は小型の豆果で、3-6個の種子が入り、宿存性の萼に包まれ、裂開しない[4][5][6]

分布と生育環境[編集]

日本では、南千島、北海道、本州(宮城県・群馬県・長野県)に分布し、海岸の岩上、山地の乾いた草原などに生育する。日本国外では、朝鮮半島中国大陸(東北部・北部)、モンゴルロシアシベリア極東ロシア)、中央アジアヨーロッパアラスカに分布する[6]

名前の由来[編集]

和名シャジクソウは、「車軸草」の意で、掌状で車輪状に並んだ小葉のようすを「車軸」にたとえたもの。また、別名のカタワグルマは、「片輪車」の意で、車輪状の小葉が半輪状に並ぶためいう。アミダガサボサツソウは、それぞれ「阿弥陀笠」、「菩薩草」の意で、いずれも放射状に広がった笠状の小葉に基づく名前である[5]

種小名(種形容語)lupinaster は、「ハウチワマメ属(ルピナス属Lupinus に似たもの」の意味[5]

下位分類[編集]

ギャラリー[編集]

脚注[編集]

  1. ^ シャジクソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ シャジクソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  3. ^ シャジクソウ(シノニム) 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  4. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑2 山に咲く花(増補改訂新版)』p.332
  5. ^ a b c d e f g 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.573, p.1500
  6. ^ a b c d e 『改訂新版 日本の野生植物2』p.296
  7. ^ シロバナシャジクソウ 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献[編集]