ジュニオ ブレイン トラスト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ジュニオ ブレイン トラスト株式会社
種類 株式会社
本社所在地 日本の旗 日本
104-0045
東京都中央区築地1丁目9番11号
設立 1970年6月25日
(有限会社スタジオジュニオ)
業種 情報・通信業
事業内容 アニメーション作品の版権管理
代表者 代表取締役 井上直太郎
関係する人物 香西隆男(常務取締役)
テンプレートを表示

ジュニオ ブレイン トラスト株式会社は、かつて存在した日本企業

沿革[編集]

香西隆男永樹凡人、小泉謙三、我妻宏の4人のアニメーター東映動画を退社して、1964年にハテナプロを設立。テレビアニメ魔法使いサリー』などの下請けをやっていたが、1969年に解散。村田耕一小松原一男OH!プロダクション、我妻と小泉のスタジオメイツ、永樹のスタジオジョークなど5つから6つのスタジオに分裂した。

そのうちの一つが、香西が1969年に設立した「有限会社スタジオジュニオ(以下ジュニオ)」である。ハテナプロからは今沢哲男らがジュニオへ参加し、1972年にはスタジオメイツから我妻が移籍。同社はハテナプロに引き続き、東映動画や東京ムービーのテレビシリーズの外注の仕事を主にこなした。

1980年代には、東京ムービー作品は香西や今沢哲男らが中心となって『ムーの白鯨』『太陽の使者 鉄人28号』『新巨人の星』『おはよう!スパンク』などを、東映動画やグループ・タックの作品へは主に岡崎稔前田実らが中心となって『Dr.スランプ アラレちゃん』『ドラゴンボール』『タッチ』などを担当した。1ヶ月の受注数は約20作品、120人のスタッフを抱える制作会社となった。積極的なスタッフ採用は元請けでないことから発言力を持ちたいとする香西の意図があったという。

1990年代に入ると、東京ムービー出身の片山哲生が興したアニメ制作会社「イメージケイ」の仕事をジュニオは新たに受注先とする。NHK教育テレビ天才てれびくん』枠内のアニメなど、NHKでの仕事を中心とした自社制作を進めて順調な発展をしているかに見えた。ところが、NHK衛星第2放送で1997年4月から放映が始まったイメージケイ制作のアニメ『白鯨伝説』は制作スケジュールが破綻し、違約金のため元請けのイメージケイは倒産、同年10月末には遂に放送中断となった。同じく片山がアニメ制作を請け負って、ジュニオが実制作を担当した『天てれ』枠内アニメ『救命戦士ナノセイバー』では、1998年1月に何とか完結させたものの、このイメージケイの倒産劇によってジュニオも被害を受けたとされる。

その苦境の最中での仕事がアニメ映画『ガンドレス』だった。アニメ制作会社サンクチュアリが製作委員会から4億円で請け負い、ジュニオに対して制作費2億円弱で発注。しかしジュニオは1999年3月の公開に間に合わせることが出来ず、製作委員会は当初の公開日である3月20日、未完成状態のまま、日活を配給元に全国の東映系劇場42館で公開を強行。新聞の社会面で報道される不祥事となった。『ガンドレス』を作品として完成させるにはさらに1億円の費用がかかったとされ、この件で東映は日活に、日活はサンクチュアリに、サンクチュアリはジュニオへそれぞれ損害賠償請求を行い、ジュニオは一旦活動を停止した。この頃に前後して香西はスタッフをジュニオからどんどん独立させて、失敗の責任をあえて自分1人が負う形にしたという。

その後、2000年頃に商号を「ジュニオ ブレイン トラスト株式会社」に変更、合わせて株式会社に改組して活動を再開。以後は1979年頃から香西が制作していた教育アニメを中心に制作していたが、2004年の『雲の学校』を最後に実制作から撤退した。

2021年現在、同名の法人は登記されておらず、活動は確認されていない。版権管理事業を続けながら、香西が新作アニメ企画の実現を模索していたが、諸事情で叶わなかった。

作品履歴[編集]

テレビアニメ[編集]

開始年 放送期間 タイトル 監督 アニメーション
プロデューサー
原作 共同制作
1988年 4月 - 1990年3月 ポンキッキ めいさくわーるど N/A N/A 番組
1991年 1月 - 1992年4月 おばけのホーリー 岡崎稔 児童書
1993年 4月 - 1994年1月 恐竜惑星 古川政美 片山哲生 オリジナル イメージケイ
2月 - 3月 みんなのうたおばけといっしょ N/A 番組
1994年 4月 - 1995年1月 ジーンダイバー 古川政美 片山哲生 オリジナル
4月 - 1995年4月 モンタナ・ジョーンズ 今沢哲男 N/A
1995年 4月 - 1996年1月 アリス探偵局 古川政美 片山哲生 イメージケイ
10月 - 1996年3月 NOOBOW 神戸守 N/A 製菓
1996年 4月 - 1997年1月 アリス探偵局(第2期) 古川政美 片山哲生 オリジナル イメージケイ
8月 - 11月 はりもぐハーリー 神戸守 N/A
10月 - 1997年3月 セイバーマリオネットJ 下田正美 早川光相
春田克典
メディア
ミックス
1997年 4月 - 6月 はりもぐハーリー(第2期) 佐山聖子 N/A オリジナル イメージケイ
4月 - 10月 白鯨伝説(第1話 - 第18話) 出崎統 片山哲生 小説
4月 - 1998年1月 救命戦士ナノセイバー 古川政美(総) オリジナル イメージケイ

劇場アニメ[編集]

公開年 タイトル 監督 原作 共同制作
1985年 雪国の王子さま 勝間田具治 小説
1990年 タイコンデロンガのいる海 日巻裕二 絵本
1993年 おばけ煙突のうた 大澤豊 オリジナル
1995年 マクロス7 銀河がオレを呼んでいる! アミノテツロー 葦プロダクション
ハルフィルムメーカー

OVA[編集]

発売年 タイトル 監督 原作 共同制作
1986年 くもりのち晴れ 神戸守 オリジナル
100ばんめのサル N/A
1987年 ぷッつんメイクLOVE 岡崎稔
1988年 マドンナ 炎のティーチャー 永丘昭典 漫画
1989年 マドンナ2 愛と青春のキック・オフ
アマダアニメシリーズ スーパーマリオブラザーズ N/A ゲーム
1991年 忍者龍剣伝 神戸守
1992年 太平洋にかける虹 明比正行 絵本
1993年 MINKY MOMO IN 夢にかける橋 湯山邦彦 オリジナル
1994年 七都市物語 神戸守 小説 アニメイトフィルム
1995年 3×3 EYES 〜聖魔伝説〜 竹之内和久 漫画
1997年 むくはとじゅうの名犬物語 N/A オリジナル

下請け参加[編集]

東映動画作品[編集]

東京ムービー作品[編集]

マッドハウス作品[編集]

グループ・タック作品[編集]

その他[編集]

主な在籍者[編集]

同社スタッフ・OBが独立・起業した会社[編集]

現在[編集]

  • SynergySP(旧・シナジージャパン) - 岡崎稔が、我妻宏・前田実と共に独立して1998年にに設立。日本アニメディア作品の制作協力を中心に活動。その後、小学館プロダクションの資本参加により商号変更。2021年現在はシンエイ動画の子会社。

過去[編集]

  • スタジオ伽藍 - OBの早川光相が、当時在籍していた神戸守らと共に1997年に設立。『カードキャプターさくら』などをグロス請け。2010年代前半に活動停止。
  • スタジオフラッグ - 制作デスクの早坂哲也が1999年に設立。主に他社からのグロス請けを中心に活動。2008年頃活動停止。
  • オフィスていくおふ - 制作デスクの渡邉武文が1999年に設立。主に他社からのグロス請けや成人向けアニメを中心に活動。2019年に破産手続き開始。

関連項目[編集]

参考文献[編集]