デイヴィッド・ゲイダー

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デイヴィッド・ゲイダー
David Gaider
誕生 カナダ
職業
ジャンル ファンタジー
サイエンス・フィクション
代表作 Dragon Ageシリーズ
活動期間 1999-
ウィキポータル 文学
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デイヴィッド・ゲイダー(David Gaider)は、カナダナラティヴデザイナー作家コンピュータRPGDragon Ageシリーズ』のリードライターであり、設定の制作者でもある。

1999年から2016年まで、アルバータ州エドモントンのゲーム開発会社バイオウェアに勤務した後、エドモントンを拠点とする別のスタジオ、Beamdog[注 1]クリエイティヴディレクターとして移籍。Beamdogは2年で退社した。

2019年、ゲイダーはオーストラリアメルボルンに新設されたインディーゲーム開発会社Summerfall Studiosのクリエイティヴディレクターに就任し、『Stray Gods: The Roleplaying Musical』と題した新プロジェクトを立ち上げることを発表した。

経歴[編集]

ゲイダーは元々ゲーマーではあったが、当初はレストランやホテルなどのサービス業で働いており、趣味としてプレイバイメール(PBM)のデザインやコミック制作をしていた[1]。1999年、自分のPBMをプレイしていた友人がたまたまバイオウェアで働いており[注 2]、同社共同設立者のレイ・ミュジカグレッグ・ゼスチャックに、ゲイダーを空いていたデザイン部門のメンバーとして推薦した[1]。ゲイダーはこの仕事を請け、最初の仕事は『Baldur's Gate II: Shadows of Amn』だった。2000年に発売された同作はバイオウェアにとって大きな成功を収め、同スタジオをRPGの主要デベロッパとして確固たるものにした[2]

その後、ゲイダーは『Neverwinter Nights』(『NWN』)と『Star Wars: Knights of the Old Republic』(『SW:KotOR』)に携わり、『SW:KotOR』でHK-47[注 3]、カース・オナーシ、ジョリー・ビンド等のキャラを書いた。『NWN』の拡張パック『Hordes of the Underdark』は、ゲイダーが初めてリードライターを務めたタイトルで、ゲーム全体のナラティヴデザインと、プロジェクトでのライターの管理を担当した。

その後、ゲイダーはバイオウェアの新作ファンタジーRPG『Dragon Age: Origins』(『DA:O』)のリードライターに就任し、同作は2009年に発売された。また、作品の舞台となる世界「セダス」の創造にも携わった。彼はゼブラン、アリスター、モリガン、シェイル等のキャラクターや、主要なクエスト「Nature of the Beast」と「Redcliffe」の執筆も担当した[4][5]。ゲイダーは、『DA:O』の前日譚にあたる小説『The Stolen Throne』と『The Calling』も執筆し、どちらも2009年に発売された。その後、ゲイダーは拡張版の『Dragon Age: Origins – Awakening』、そして続編『Dragon Age II』(『DA2』)でもリードライターを務めた。

『DA2』では、探究騎士カサンドラ、フェンリス、騎士団長メレディスの執筆に携わった。その後、後日談にあたる小説『Asunder』を執筆し、2011年12月20日に発売された。2012年、ゲイダーはDark Horse Comicsから出版された6部構成のコミックシリーズ『The Silent Grove』のリード・ライターを務めた[6][7]。『The Silent Grove』の後には、同じくゲイダーによる続編『Those Who Speak』『Until We Sleep』が続く。

2014年に発売された『Dragon Ageシリーズ』(『DAシリーズ』)の3作目『Dragon Age: Inquisition』(『DA:I』)では、再びリードライターを務めた。この作品は、Academy of Interactive Arts & Sciencesが開催するD.I.C.E. Awardsをはじめ、権威ある賞をいくつも受賞した[8]ほか、IGN[9]Game Informer[10]Polygon[11]など、複数のゲーム専門誌やウェブサイトにおいても、「Game of the Year」に選ばれている。EAの2015年度第3四半期決算報告によると、『DA:I』は販売本数ベースでバイオウェア史上最も成功したローンチとなった[12]。2015年初頭、ゲイダーは『ANTHEM』のストーリー執筆に移ったが、ゲイダーがバイオウェアを去った後、ストーリーはリブートされた[13]

2016年1月22日、ゲイダーは17年間在籍したバイオウェアを退社した[14]。 2016年2月、主にバイオウェアとBlack Isle StudiosのRPGタイトルのアップデート版をリリースすることで知られるスタジオ、Beamdogのクリエイティブディレクターに就任することを発表した[15]。 その後、2018年2月にBeamdogを退社した[16][17]

2019年、ゲイダーはオーストラリアのメルボルンを拠点とするインディーゲーム会社Summerfall Studiosを共同設立した。新スタジオの最初のプロジェクトは『Chorus: An Adventure Musical』である。Creative VictoriaとFigでのクラウドファンディングキャンペーンの両方から資金を調達し、2019年11月10日時点で6,018人の支援者から690,079米ドルを獲得した[18]。プロジェクトは2022年までに『Stray Gods: The Roleplaying Musical』に改名され、ゲイダーは引き続きクリエイティブディレクターとして参加した[19]。ゲームは2023年8月にリリースされた。

私生活[編集]

ゲイダーはゲイであることを公言している。2014年2月、彼は今は無き自身のTumblrブログに、「たまたまゲイであった(ビデオゲーム)開発者 」としての経験を詳細に綴った[20]

関連作品[編集]

コンピュータゲーム[編集]

小説[編集]

  • Dragon Age: The Stolen Throne (2009)
  • Dragon Age: The Calling (2009)
  • Dragon Age: Asunder (2011)

コミック[編集]

  • Dragon Age: The Silent Grove (2012)
  • Dragon Age: Those Who Speak (2013)
  • Dragon Age: Until We Sleep (2013)

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ バイオウェア共同設立者のトレント・オスターと、同社の元リード・プログラマだったキャメロン・トーファーにより設立された。
  2. ^ 当時はまだ『Baldur's Gate』のヒットで頭角を現したばかりだった。
  3. ^ Game Developers Choice Awardsで「Original Game Character of the Year」を受賞[3]

出典[編集]

  1. ^ a b IGN's archive interview with David Gaider”. 2011年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年5月3日閲覧。
  2. ^ Yin-Poole, Wesley (2018年12月22日). “As Baldur's Gate turns 20, we remember why it was great”. Eurogamer. Gamer Network. 2021年1月29日閲覧。
  3. ^ 4th Annual Game Developers Choice Awards Archive”. 2021年1月29日閲覧。
  4. ^ Developer post on Bioware Community.
  5. ^ Post № 2.
  6. ^ REVIEW : David Gaider – Dragon Age : The Silent Grove”. 2012年9月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月13日閲覧。
  7. ^ Allegra Frank (2016年1月22日). “Dragon Age lead writer leaves BioWare after 17 years (update)”. Polygon. 2021年6月10日閲覧。
  8. ^ Dragon Age: Inquisition Takes Game of the Year at DICE Awards”. The Escapist (2015年2月6日). 2021年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月29日閲覧。
  9. ^ IGN Best of 2014 - Best Overall Game”. IGN (2014年12月19日). 2021年1月29日閲覧。
  10. ^ Jeff Marchiafava (January 7, 2015). “Game Informer Best Of 2014 Awards”. Game Informer. http://www.gameinformer.com/b/features/archive/2015/01/07/game-informer-best-of-2014-awards.aspx?PostPageIndex=4&sf35377359=1 2021年1月29日閲覧。. 
  11. ^ Colin Campbell (2014年12月31日). “Polygon's Games of the Year 2014 #1: Dragon Age: Inquisition”. Polygon. 2015年1月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月29日閲覧。
  12. ^ Phil Savage (2015年1月29日). “Dragon Age: Inquisition had most successful launch in Bioware history”. PC Gamer. 2021年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年1月29日閲覧。
  13. ^ How BioWare's Anthem Went Wrong”. Kotaku. G/O Media (2019年4月2日). 2023年5月3日閲覧。
  14. ^ David Gaider's Twitter Account
  15. ^ Purchese, Robert (2016年2月9日). “Veteran BioWare writer David Gaider seems to have a new job”. Eurogamer. Gamer Network. 2016年2月10日閲覧。
  16. ^ David Gaider has left Beamdog”. PC Gamer (2018年2月9日). 2021年1月29日閲覧。
  17. ^ Farewell to Dave!”. Beamdog (2018年2月9日). 2018年2月14日閲覧。
  18. ^ Chorus, the adventure musical game, reaches crowdfunding goal”. PC Invasion (2019年11月6日). 2021年1月30日閲覧。
  19. ^ Kim, Matt (2022年4月2日). “Stray Gods: The Roleplaying Musical's Narrative Choices Will be Familiar to Dragon Age Fans”. IGN. 2022年6月5日閲覧。
  20. ^ David Gaider's Blog: ON "THE GAY THING"”. 2014年3月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月9日閲覧。