デンドロビウム・リンドレイ

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デンドロビウム・リンドレイ
デンドロビウム・リンドレイ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 Monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ラン科 Orchidaceae
亜科 : セッコク亜科 Epidendroideae
: セッコク属 Dendrobium
: デンドロビウム・リンドレイ D. lindleyi
学名
Dendrobium lindleyi Steud., 1840

デンドロビウム・リンドレイ Dendrobium lindleyiラン科の植物の1つで、太い偽鱗茎の先端に葉を1枚だけ付け、多数の黄色い花を咲かせる。

特徴[編集]

着生の多年生草本[1]。茎は束になって生じ、長さ3-10cmでやや扁平な紡錘形をしている。葉は茎の先端に1枚だけ付き、長楕円形で長さ5-10cm、革質で分厚く、先端は鈍く丸まり、また左右不均等になる。

花期は春で、花茎は茎の上の方の節から出て長さ10-25cmに達し、斜め上に伸びて先端は次第に下を向く。この花茎の先端寄りに5-15個の花をつける。花は平らに広がって咲き、径は約3cm、黄金色で香りがある。萼片は舌型で長さ1.5cm、先端はとがる。また側萼片の基部にあるメンタムは短い。側花弁は倒卵形で長さ1.5cm、先端はとがる。唇弁は大きくて円形に広がり、長さは2cmで、その縁は波状になる。また表面に白く細かい毛がある[2]。蘂柱は太くて短い。

学名の種小名はイギリスの植物学者ジョン・リンドリーLindley(1799-1865)にちなむ。

分布[編集]

アッサム、ミャンマーから南中国、マレーシアに分布し、海抜500-2000mの地域に見られる[3]

本種は最初、アラカン山でサルスベリに着生しているのを M. Pierard が発見したものである[3]

分類[編集]

本種は長く D. aggregatum Roxb. として扱われてきたが、現在ではこの名はシノニムとして扱われている。

近縁のものとしてはジェンキンシー D. jenkinsii が知られる。本種に似ているがより小型(茎の長さ2-4cm、葉は3-4cm)で花色はやや淡い。この種は従来は本種と同種とされ、 D. aggregatum var. jenkinsii として扱われてきた。

利用[編集]

洋ランの1つとして観賞用に栽培される。園芸的なジャンル分けではカリスタ系として扱われる[4]。栽培容易で美麗な種として知られ、比較的広く出回っている。なお、現在でも以前の学名のアグレガタムで出回っていることも多い[5]

出典[編集]

  1. ^ 以下、主として唐澤(2003),p.130
  2. ^ 土橋(1993),P.209
  3. ^ a b 唐澤(2003),p.130
  4. ^ 岡田((2010),P.99
  5. ^ 大場(2010),P.59

参考文献[編集]

  • 唐澤耕司、『原色ラン図鑑 I解説編』、(2003)、日本放送出版協会
  • 土橋豊、『洋ラン図鑑』、(1993)、光村推古書院
  • 岡田弘、『咲かせ方がよくわかる はじめての洋ランの育て方』、(2011),主婦の友社
  • 大場良一監修、『失敗しない洋ラン入門』、(2010)、主婦の友社(主婦の友生活シリーズ)