ノート:カキバチシャノキ属

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「クサイヌジシャ」について[編集]

 「クサイヌジシャ」は『図説熱帯植物集成』(E. J . H. コーナー渡辺清彦 共著、廣川書店、1969年) 746頁において Cordia cylindristachya (Ruiz & Pav.) Roem. & Schult.(種小名には cylindrostachya の表記揺れあり)にあてられた「クサイヌヂシヤ」が初出と思われる和名で、これは恐らく2007年に発表された研究(Miller & Gottschling; 本文参照)がきっかけで新種記載された際の Varronia cylindristachya Ruiz & Pav. に分類が戻されたものと考えられます。ここまでであれば和名と学名を対応させる上では何の問題も生じないのですが、実は昨日になってコーナー & 渡辺のいう C. cylindristachya は別種を誤同定したものである可能性が浮上しました。その別種とは Varronia curassavica Jacq. です。

 『図説熱帯植物集成』の「クサイヌヂシヤ」の項の産地欄はマライ、つまりマレー半島を意味していると考えられるのですが、Plants of the World Online によればそもそも V. cylindristachya の生育地は南米西部~ベネズエラであり、他の地域に移入されたという情報は確認できません。こうなると誤同定の可能性が疑われる為、「Cordia cylindrostachya + Malay」でGoogle Booksを検索したところ、The Malaysian Agricultural Journal 52: 154 に "BIOLOGICAL CONTROL OF CORDIA CURASSAVICA* (JACQ) R. & S. IN MALAYSIA BY SCHEMATIZA CORDIAE BARB. (COLEOP: GALERUCIDAE) by S.H. Ung, A. Yunus AND W.H. Chin (Agriculture Division) (...) Formerly known as C. cylindrostachya (Henderson, 1954)" という言及を見つける事ができました。Varronia curassavica は一時期カキバチシャノキ属に組み替えられて Cordia curassavica (Jacq.) Roem. & Schult. とされた事があり、この "CORDIA CURASSAVICA" は Varronia curassavica の事であると判断でき、しかも Plants of the World Online ではメキシコから熱帯アメリカ原産で複数の地域に移入され、その一つが Malaya (≒ シンガポールを含むがビルマやタイは含めないマレー半島) とされています。そして Ung, Yunus & Chin による上記論文は1979年に発表されたものです(AGRIS)。この論文は今のところ断片的にしか内容を窺う事ができないのですが、この記事を作成した際につけた見るに堪えない分類表を整理する際までには完全な形のものを確認しておきたいところです。ともかく、日本語圏で「クサイヌジシャ」を Cordia cylindristachya とした言及は確認できる限りいずれもコーナー・渡辺 (1969) を引用したもので、そのコーナー・渡辺が旧来の誤同定を踏襲したと考えられる以上は Varronia cylindristachya に「クサイヌジシャ」の和名をあてる事は控えたいと思います。--Eryk Kij会話2022年4月18日 (月) 07:20 (UTC)[返信]