ノート:不完全菌

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いやあ、あそこの定義はですね、分かってああ書いたんです。私の理解では、完全世代が判明しても、その不完全世代は不完全菌なんじゃないかと思うんです。だって、学名は通用するわけだし、現実には目の前では無性生殖しかしないんだし。だから、あえて”完全世代が分からない”と言うような表現は避けたつもりなんですが、私の理解が間違っていますでしょうか?--Ks 2005年1月11日 (火) 13:43 (UTC)[返信]

いやぁ、私も難しい問題があるのは分かっていててあえて書き換えたようなところがありまして・・・。お互い難しい問題に頭を抱えながら「確信犯」として書いたみたいですから、問題を整理する必要がありそうですね。まず、グループとしての「不完全菌」はあくまでも子嚢菌に入れたらいいのか、担子菌に入れたらいいのかわからないから設けられたと認識したほうがいいと思います。ただ、菌類学の草創期には完全世代の解明は交配による各個撃破でのろのろと進んだわけですね。だから、菌類は生殖器に頼らなければ同定がおぼつかないわけで、たいがいの不完全世代の菌は即ち不完全菌だったわけです。しかも不完全世代がものすごくよく似ていて同じ属にまとめられていても、完全世代で有性生殖器官をチェックするとかなり形態が違っていて別属になってしまうケースもあるわけですよね。だから実際には有性世代がわかっている菌であっても、不完全世代を見たらとりあえず不完全菌として記載された学名を使っておくのが安全である。だから「便宜的に」不完全世代の菌を「不完全菌扱いしておく」というのが実情でしょう。だから、「定義」の部分では「不完全世代」=「不完全菌」としてしまうのは問題だと判断したわけです。ただし、「完全世代が判明しても、不完全世代の形態のみから完全世代を正確に同定することは困難なので、便宜的に不完全菌として扱うことが多い。」というような注釈は必要だと考えます。--ウミユスリカ 2005年1月11日 (火) 15:00 (UTC)[返信]

で、私の場合、”不完全菌という分類群がない”のは当然としましょう。しかし、個々に存在する菌としての”不完全菌”は、あるんじゃないかと思うんですよ。たとえば、多分完全世代が存在しないと思われるものもある。もし、本当に存在しないとしても、遺伝子かなにかで、これは子嚢菌のどれどれだ、まず間違いない、そういう判断は出来ます。しかし、その菌そのものは不完全菌だと思うんです。実際に、野外でカビを見つければ、不完全菌としての名前を使わざるを得ないわけです。種までの同定は大変ですし、属まででやむをえないなら、これはまさに不完全菌の名前を使わざるを得ない。そのための文献は、不完全菌図鑑ですね。これをConidial fungとやっても、やっぱり、学名は不完全菌を使わざるを得ない。そういう意味では、分からないから不完全菌ではなく、使わざるを得ないから、不完全菌はあると言わないといけないんじゃないか、そう思うんですよ。どうでしょう>--Ks 2005年1月12日 (水) 00:55 (UTC)[返信]

”不完全菌という分類群がない”ということではないと思うんですね。ないのは「不完全菌という自然分類群」であって、「不完全菌という人為分類群」はれっきとして存在するわけです。そして、自然現象として存在するのは「不完全型」あるいは「不完全世代」の菌です。そして、「不完全型」の菌を「不完全菌」と呼ぶのは、あくまで便宜措置です。まぁ、ウィキペディアは論文掲載の空間ではなく、あくまでも百科事典空間ですから(もちろんこの間にグレーゾーンはあると思います)、実際のプロの研究者が書いた文章がどういう扱いになっているかを見てみます。取り上げるのは日本の不完全菌分類を大成した椿啓介さんが1992年に雑誌「バイオスフェア」に書かれた「水の中の菌類」です。この文章では主に水生不完全菌の概説をしているのですが、「アオカビやクロカビなど,身近なかびの仲間である子嚢菌類も,水中からみつかっている。」「これらのほか,真正胞子を形成する段階が知られていない,不完全菌類というグループがある。」と記述しておられます。つまり、便宜的に不完全菌扱いになっているアオカビやクロカビでも、完全世代が確認されていて子嚢菌だとはっきりしているものは極力子嚢菌と呼んでいこう、まだ完全世代が見つかっていないものだけを不完全菌類と呼んでいこう、という方針がはっきり打ち出されていると思います。だから、百科事典における定義では「わからないものが不完全菌」としておいて、でも実用上、特に応用分野の要請を満たすためにも「便宜上不完全菌はあることにしておく」という二重構造をはらんでいることをきっちり書くべきだと思うんですよ。--ウミユスリカ 2005年1月12日 (水) 05:55 (UTC)[返信]

まあ、そうですかね。私も少しあたってみたですが、私が間違ってるとは思ってませんけど、一般的な表現とすればその方が妥当ではありますかね。後は中身の問題ですか。もっと書かないといけないことはあると思いますし。皆様よろしく。--Ks 2005年1月12日 (水) 23:46 (UTC)[返信]

本文の方に一応書き足しをしてみましたが、やっぱりこの問題複雑ですね。件の椿啓介さんにしても、平凡社の「世界大百科事典」では「麹黴」の項目でコウジカビ属を「不完全菌」と書いていて、その隣では渡部仁さんが昆虫の「麹黴病」の項目で病原体としてのコウジカビ属を「子嚢菌」と書いています。現役で不完全菌を扱っているプロの方に見てもらうのが一番なのかもしれませんね。--ウミユスリカ 2005年1月13日 (木) 00:41 (UTC)[返信]