ノート:慣らし運転

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慣らし運転の目的
機械設備が持つ性能の中で、ユーザーの行うことができる性能の抽出作業:チューニング

運転開始以降の設備劣化に伴う機械性能悪化対策を拡張し、事前に対策を実施することにより、通常使用(慣らし運転未実施)機で得られる性能以上の状態を作り出す。主な対策要素として、ロスを増やさないこと及び減らすこと。

一定の加工精度で仕上がっている面において、均一な面分布の力で摩擦運動が発生した場合のエネルギー損失に比べ、不均一な面分布状態(片当り)での摩擦運動では、総摩擦抵抗値の増大とそれに伴う局所的な温度上昇による熱膨張・熱歪の発生が不均一な面分布状態を悪化させるという悪循環に陥ることが考えられる。
常に運動している部品に対して不均一な面分布状態を改善する手法として、組み付け精度を高める以外に、運転後に発生した「片当り」状態をさらに悪化させることなく「片当り」そのものを緩和・除去する作業を行うことにより組み付け・摩擦面分布が最適化された状態になり、結果、運転開始前よりエネルギー損失が減り、通常以上の性能が得られることを目的とする。
  • 出力性能【原動機】
性能が最重要視される競技車両では、シリンダーブロックの組み付けにおいて仮締め状態でクランクを一定速度で回転させた後に本締めすることにより動的な「芯出し」を実施することがある。また、組み立て・運転試験後に内部確認の為に一度分解し、ピストンスカートの「当り」の強い部分に対して、手仕上げ(#600ペーパー等)で「当り取り」なども行う。
この作業をエンジンを分解することなく行う近似的手法として、最も「片当り」が発生する可能性が高い運転初期時(一般的に100~1000km)には高負荷(高回転)を禁物とし、徐々に負荷を増やし(「片当り」状態を意図的に発生させ)、再度 低負荷運転で「当り取り」運転を行うといった作業を再帰的に行っていく。
  • 耐久性能
初期の「当り取り」作業で耐久性能も向上するが、性能維持目的として慣らし運転後も、冷機時には高負荷をかけないように運転することや、また高負荷運転後には「当り取り」を意識した運転を実施する。
  • 運動性能
一般舗装路を積載負荷の少ない状態で一定距離運転した後、高速走行で高負荷をかけていく。
エンジン同様に、高負荷をかけた後は低負荷での慣らしを心がける。