プロジェクト:アウトリーチ/図書館総合展2022/紹介/2ウィキペディアタウンin宇川

ウィキペディアタウンin宇川は、京都府京丹後市丹後町の東部地区・宇川において、2021年度を中心に全5回で開催されたウィキペディアタウン。農林水産省の助成対象であった「宇川スマート定住促進協議会」の事業のひとつとして実施した。

ウィキペディアサロン2022関連企画[編集]

無し

企画概要[編集]

企画名
ウィキペディアタウン宇川
主催者
プレイベント、第1回から第4回までの計5回開催された。プレイベントはedit Tango、第1回から第4回は宇川スマート定住促進協議会とedit Tangoが主催。宇川スマート定住促進協議会は宇川地域で移住定住の促進や地域振興に取り組んでいる団体であり、edit Tangoは丹後地方でオープンデータを活用した情報発信に取り組んでいる団体である。
開催地・会場
各回とも京都府京丹後市丹後町宇川が開催地。まちあるき場所は宇川の各集落であり、編集会場は丹後町久僧1070の宇川アクティブライフハウスである。宇川アクティブライフハウスは宇川地区の地域活動の拠点となる施設であり、各回の参加者数に合わせて講堂または教室を用いた。公共交通機関が不便な地域であるため、まちあるき場所から編集会場までの移動などは、参加者の自家用車に乗り合わせるなどしている。

企画のねらい[編集]

Wikipediaを編集することで宇川地域の情報を得やすくし、宇川地域に関心を持つ人を増やすことで、将来的な移住定住の促進につなげるねらいがある。農林水産省の農山漁村振興交付金[1](地域活性化対策)スマート定住条件強化型モデル地区事業の一環として開催された。宇川におけるスマート定住モデル事業の概要については農林水産省によるPDFを参照。

企画内容[編集]

ウィキペディアタウン宇川・プレ[編集]

当日の日程[編集]

スケジュール
2021年2月13日(土) 10:00〜17:30
ガイダンス
20分ほどで、ウィキペディアのガイダンスを行う。
ウィキペディア編集時間
約3時間
参加者
Wikipedia編集経験者4名。上宇川区長や下宇川区長など、地元の宇川地区からの参加者5名。取材参加者1名。計10名。
詳細
2021年度に複数回行う連続イベントに向けたプレ企画である。宇川地域に関連するWikipedia記事はほとんど存在しない。地元住民にWikipediaやウィキペディアタウンに関する理解を深めてもらうことに主眼をおき、宇川全域に関係する広域項目を作成した。宇川地域には図書館が存在しないため、事前に京丹後市立図書館京都府立図書館から5箱分の文献が持ち込まれている。参加者による参加レポートも参照。

編集題材[編集]

ウィキペディアタウン宇川vol.1 袖志[編集]

当日の日程[編集]

スケジュール
2021年4月10日(土) 9:30〜17:30
ガイダンス
下宇川区長・小林氏にまちあるきガイドをいただき、社会科研究会等で郷土資料を多数まとめられた萬福寺の村上住職にも文献調査の際、助言をいただいた。
ウィキペディア編集時間
30分ほどのWikipedia講習ののち、約3時間。
参加者
龍谷大学学生5名、丹後町の京丹後市議会議員ほか地元住民、edit Tangoメンバーら、15~20名。
詳細
宇川地域にある袖志集落をテーマとし、袖志集落そのものの記事を新規作成したほか、袖志集落に関連する複数の記事を新規作成した。まちあるき時には万福寺の住職の話を聞き、住職は午後のWikipedia編集作業時にもフォローを行ってくれた。宇川地域では龍谷大学政策学部今里ゼミが魅力発信などの取り組みを行っており、午後のWikipedia編集には今里ゼミの学生数人も参加している。参加者による参加レポートも参照。

編集題材[編集]

ウィキペディアタウン宇川vol.2 宇川(河川)[編集]

当日の日程[編集]

スケジュール
2021年7月25日(日) 9:15〜17:00
ガイダンス
午前中は上宇川漁協の協力により、アユ漁を見学。午後、地元で長年研究されてきた瀬川氏の講演をいただいた。Wikipedia講習は初参加者を対象に昼休み約40分。
ウィキペディア編集時間
約2.5時間
参加者
Wikipediaの編集を行った参加者は11名。見学者は大学生など多数。
詳細
河川としての宇川はアユの生態研究地として知られる。上宇川漁業協同組合、アユ研究者の協力のもと、午前中にフィールドワークを行い、午後にアユ研究に関する講演・文献調査・Wikipedia編集を行った。編集中に新規立項記事に「荒らし」が介入したが、参加者はオフライン中心に執筆作業を進めていたため、編集競合で成果が失われる等の不都合は生じず、イベント進行にはほとんど影響しなかった。荒らしアカウントの投稿ブロックや、荒らされた版の差戻しなど、通常のイベントでは生じないWikipediaの内幕を解説する機会となり、怪我の功名ともいえる。対象記事はイベントの翌日から1週間半保護された。参加者による参加レポートも参照。

編集題材[編集]

ウィキペディアタウン宇川vol.3「宇川の離村・廃村」[編集]

当日の日程[編集]

スケジュール
2021年11月14日(日) 9:30〜17:00
ガイダンス
まちあるきガイドとして依頼していた方のほか、訪問先の集落にいた元住民にも思い出話をいただいた。
ウィキペディア編集時間
約3時間
参加者
Wikipediaの編集を行った参加者は6名。文献調査に協力した参加者は3名。現地ガイド1名。さらに現地住民数名。
詳細
戦後の高度経済成長期には丹後半島の各地で離村・廃村が相次ぎ、宇川地域にも離村集落が存在する。山間部にある丹後町小脇と丹後町三山の各集落、離村集落から自動が通っていた丹後町立虎杖小学校を訪れ、離村集落出身者から話を聞いた。それぞれの車で編集会場に戻り、これらの地域に関するWikipedia記事を作成した。参加者による参加レポートも参照。また、丹後杜氏の研究者・林氏が参加されていたため、あらかじめ作成していた丹後杜氏の項目内容の確認と資料の助言をいただいた。

編集題材[編集]

ウィキペディアタウン宇川vol.4「地域と学校」[編集]

当日の日程[編集]

スケジュール
2022年1月22日(土) 10:30〜17:30
ガイダンス
池井保氏の虎杖小学校時代の教え子の方に、思い出をご紹介いただいた。
ウィキペディア編集時間
約3時間
参加者
主催者の意向により運営側含め10名以下での参加者募集とし、PCR検査結果が間に合わなかった京都市内在住大学生の参加は見送られた(結果的に9名で実施)。
詳細
宇川地域は積雪量が多い地域であるため、第4回ではまちあるきは行っていない。宇川地域の教育をメインテーマとし、宇川アクティブライフハウスにて虎杖小学校卒業生の講話を聞いた。文献調査を行ったのち、編集者2班及び調査サポート班に分かれ、Wikipediaに3記事を新規立項した。参加者による参加レポートも参照。

編集題材[編集]

運営体制[編集]

主催者
宇川スマート定住促進協議会、edit Tango
(担当者連絡先)
協力者
文献準備の協力者として京都府立図書館京丹後市立図書館など
運営スタッフ
上宇川区長、下宇川区長、京丹後市職員ら事務局2名
ウィキペディア講習担当
利用者:漱石の猫(Wikipediaやウィキペディアタウンの説明、編集サポートなどを担当)、利用者:Asturio Cantabrio(編集サポートなどを担当)
準備物
高校生及び大学生が参加した第2回目では、図書の十進分類法の一覧表と大きめの付箋を用意し、題材を十進分類にあてはめて分析し、セクション分けを見える化した。

主催者からのメッセージ[編集]

宇川ではWikipediaを活用した文化歴史の継承や地域振興に取り組んでいるedit Tango と連携し、Wikipediaを活用した地域資源の見える化および情報発信をしました。 開催趣旨として、「地域を実際に見て、人の話を聞き、文献等で調べ、インターネット百科事典Wikipediaに記事として投稿発信することで、地域からの学びによる地域再生を目指す」こととし、以下、通算5回の開催をしました。

プレ(宇川)・第1回(袖志)・第2回宇川(河川)・第3回宇川の離村・廃村・第4回宇川(地域と学校)。

例えば、第3回宇川の離村・廃村(添付資料参照)では、テーマに関心を寄せる方々が参加され、廃村地を訪問し、小脇の由来碑や三山の記念碑を見て、地元の方の語りを聞き、周辺の自然を体感しつつ集落の歴史にふれ、その後、文献による俯瞰的・多面的な調査を行い、系統的に項目を作成・編集していく過程を経て、投稿し、その成果を参加者が共有できました。

Wikipediaへの投稿により地域の歴史を誰もが、いつでも、どこでも知ることができます。とりわけ、地域の歴史に興味のある方には、便利に情報が得られるものとなっており、注釈や脚注も詳しく、参考文献も記されていますので、さらに学習を深めることもできます。

「宇川ウキペディアタウン」は農水省の農山漁村振興交付金を活用した実証事業として実施し、地域資源の見える化および情報発信できる貴重な成果を得ることができました。

今後、地域コミュニティによる持続可能な取り組みとして、地域の魅力として、文化財に関する情報や多様な分野と繋がった調査結果が、発信でき共有できるよう、Wikipediaを活用したワークショップが、行政・地域・文化団体が協力・連携して展開できる事業として創出されることを願っています。