ムシュティカ

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バララーマと戦うムシュティカ(右)、チャーヌーラと戦うクリシュナ(左)。1650年頃。

ムシュティカ: मुष्टिक, Muṣṭika)は、インド神話に登場するアスラである。マトゥラーの悪王カンサに仕える悪魔の1人[1]。『バーガヴァタ・プラーナ英語版』によると、チャーヌーラとともに強大な力を持った闘士であった。

神話[編集]

聖仙ナーラダからクリシュナが生きていることを聞かされたカンサは、悪魔ケーシンにクリシュナとバララーマの殺害を命じ、またムシュティカとチャーヌーラたちに闘技場を建設させ、クリシュナを殺すための闘技大会の開催を命じた[2][3]。闘技大会では、巨象クヴァラヤーピーダを殺したクリシュナとバララーマが闘技場に入って来ると、ムシュティカはチャーヌーラとともに2人に戦いを挑んだ[4]。ムシュティカはバララーマと、チャーヌーラはクリシュナと激しい戦いを繰り広げた。観客の女たちはあどけなさが残るクリシュナとバララーマが屈強な闘士と戦うことの不公平さを嘆いたが[5]、そんな心配をよそにクリシュナはチャーヌーラを殺し、バララーマもまたムシュティカの打撃に対して強烈な平手打ちで反撃し、ムシュティカを殺した。さらにバララーマは向かってきた別の闘士クータを左手の打撃で倒した[6][7]

脚注[編集]

  1. ^ 『バーガヴァタ・プラーナ』10巻2章1-2。
  2. ^ 『バーガヴァタ・プラーナ』10巻36章16-26。
  3. ^ 上村勝彦、p.316。
  4. ^ 『バーガヴァタ・プラーナ』10巻43章40。
  5. ^ 『バーガヴァタ・プラーナ』10巻44章1-16。
  6. ^ 『バーガヴァタ・プラーナ』10巻44章24-26。
  7. ^ 上村勝彦、p.318。

参考文献[編集]

  • 『バーガヴァタ・プラーナ 全訳 下 クリシュナ神の物語』美莉亜訳、星雲社・ブイツーソリューション、2009年。ISBN 978-4434131431 
  • 『インド神話 マハーバーラタの神々』上村勝彦訳、ちくま学芸文庫、2003年。ISBN 978-4480087300