別府秘湯女性看護師強盗殺人事件
別府秘湯女性看護師強盗殺人事件(べっぷひとうじょせいかんごしごうとうさつじんじけん)は、2010年9月に大分県別府市で、秘湯めぐりをしていた女性看護師が他殺体で見つかった事件である。
事件の発生[編集]
2010年9月4日、大分県別府市明礬の秘湯「鍋山の湯」に通じる市道脇の雑木林で、旅行中だった女性看護師が他殺体となって遺棄されているのが発見された。遺体発見現場からは、被害者の携帯電話などが入った高級ショルダーバッグや3万数千円入りの財布がなくなっていたため、大分県警は強盗殺人として捜査。司法解剖の結果から、死亡したのは8月31日で、死因は窒息死と判明した。被害女性は、一人旅で、九州内の秘湯を軽自動車でめぐっていた[1][2]。
事件後、「鍋山の湯」に通じる市道は通行止めとなっていたが、防犯カメラ、街灯、注意看板の設置等の防犯対策を実施した上で、2011年2月14日に通行止めが解除され[3]、市道の先にある秘湯「へびん湯」は営業を再開した。事件の現場となった「鍋山の湯」は長らく閉鎖されたままであったが、2021年には再開している[4]。
容疑者の逮捕[編集]
事件発生から一年後の2011年8月31日、別件の傷害罪などで公判中だったA被告が死体遺棄の疑いで逮捕され、その後、起訴された。現場からは服に付着していた微量の唾液のDNAが検出されていて、これが被告のものと一致したとされている。被告は2009年3月まで福岡県北九州市小倉北区に本拠を置く指定暴力団・工藤会系組員だった[5][6][7]。
また、2011年9月23日には被告が容疑を認めたなどのため、強盗殺人の疑いで再逮捕、強盗殺人罪及び強制わいせつ致死罪で起訴された。起訴状では被害者に金品を奪うために声をかけたが無視されたため「鍋山の湯」駐車場南東約180メートルの市道で被害者の首を絞め、さらに鉄製工具で頭を殴って殺害した後に金品などを奪ったとされている。頭を殴って殺害する際に使われたとされる凶器の鉄製工具が見つかっている[5][8]。
裁判は裁判員裁判で行われ、2012年3月14日、大分地裁は求刑通り無期懲役の判決を言い渡した[6]。これに対して検察側、弁護側ともに控訴はせず、無期懲役が確定した[9]。
脚注[編集]
- ^ “別府秘湯巡り殺人「車で追い越し女性待ち伏せ」”. 読売新聞. (2011年9月25日). オリジナルの2011年9月28日時点におけるアーカイブ。 2011年9月26日閲覧。
- ^ “30代の男逮捕へ 別府の女性殺害事件”. 大分合同新聞. (2011年8月31日). オリジナルの2013年12月28日時点におけるアーカイブ。 2014年2月15日閲覧。
- ^ “防犯対策整い通行止めを解除へ 別府”. 大分合同新聞. (2011年2月11日). オリジナルの2014年2月3日時点におけるアーカイブ。 2014年2月15日閲覧。
- ^ “【別府市】明礬温泉 鍋山の湯~噴煙立ち上る明礬の秘湯”. おんせん県で週末温泉生活. (2021年4月23日) 2023年3月18日閲覧。
- ^ a b “別府の女性強殺:凶器の工具を発見 再逮捕の容疑者送検/大分”. 毎日新聞. (2011年9月25日) 2011年10月2日閲覧。[リンク切れ]
- ^ a b “別府看護師殺害 被告に無期”. 大分合同新聞. (2012年3月15日) 2014年2月15日閲覧。
- ^ “遺棄容疑の男逮捕 看護師殺害事件”. 大分合同新聞. (2011年9月1日) 2014年2月15日閲覧。
- ^ “起訴内容認める 別府看護師殺害初公判”. 大分合同新聞. (2012年3月6日) 2014年2月15日閲覧。
- ^ “別府看護師の強盗殺人 無期懲役が確定”. 47NEWS. (2012年3月6日) 2014年3月20日閲覧。
関連項目[編集]
- 比叡山女子大生殺人事件 - 一人旅の女性が山中で殺害された事件