日本語の成り立ち

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日本語の成り立ちは、自然言語としての日本語の言語構成を分析的に考察することで得られたその孤立発生、独立起源を主軸とする成立過程の仮説である。

日本語の成立過程を論じる学問分野では、日本語は他言語から派生した言語であるとする仮説が支配的で、主に博物学的な手法、すなわち分類学的な手法が用いられてきた。特に、言語の類型的な特徴に着目して、人類の移動と共に言語も伝播したという仮説に基づいた議論が学界や在野の好事家の間で続けられている。そこでは、専ら話者の発声の特徴や単語・文法の類似性を論じることで、多様な仮説が提出されている。

一方、日本語の構造を要素還元的に解析することで、その成り立ちを解明しようという理論が報告されている。

概要[編集]

日本語では、言語学的な意味を構成する最小単位として定義される形態素が、単語であると考えられてきた常識を覆し、日本語を構成する各音節、すなわち五十音を形態素と理解することの合理性が指摘されている[1]。個々の音節に固有の言語的意味をアトリビュートすることで、多数の大和言葉やオノマトペの語源を解明できることが指摘されている。日本語に固有の単純な開音節の音韻と、帰納的に求められた極めて原始的なセマンティック・コンテンツの関連性から、他の系統とは独立に創出された言語であることが示唆されている[2]

2021年、日本語を構成する音節の意味内容の辞書(レキシコン)が作成され、翌2022年、当該レキシコンを含む「情報処理システム、日本語の意味内容解釈方法及びプログラム」が、日本国内で特許登録された(特許第7125794号)[3]。実用的な自然言語処理に供することが可能な理論の登場で、日本語の成り立ちの議論は従来の他言語起源論争の混沌から新たなフェーズに入った。

脚注[編集]

  1. ^ 経営ひと言/電気通信大学・小林哲特任教授「古代が見える」2020/6/8”. 日刊工業新聞. 2022年10月16日閲覧。
  2. ^ 小林 哲『日本語の起源 Japanese Language Decoded』NextPublishing Authors Press、2022年9月9日。ISBN 978-4-8020-7870-2 
  3. ^ 特許第7125794号”. 独立行政法人工業所有権情報・研修館. 2022年10月7日閲覧。