趙爽

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趙 爽(ちょう そう、生没年不詳)は、中国後漢末期から三国時代数学者君卿。別名は趙嬰

勾股円方図

生涯[編集]

周髀算経』の勾股円方図

記録によると、趙爽は後漢張衡天文学書『霊憲』と劉洪書『乾象暦』を研究していたという。

黄武元年(222年)頃、趙爽は数学書『周髀算経』を深く研究し、著書の『周髀算経注』にて序文と勾股円方図や勾股定理(ピタゴラスの定理)についての詳細な注釈を530字余り記した。これは数学史上において貴重な文献となっている。

勾股定理(ピタゴラスの定理)[編集]

勾股円方図による勾股定理証明
勾股定理(ピタゴラスの定理)の視覚的証明

の時代から存在するといわれる『周髀算経』には、勾股定理や勾股円方図の記述が存在するが、これを証明する定理についての記述はなかった。趙爽は『周髀算経注』の中の「勾股円方図説」において、勾股定理についての定理を証明している。

「勾股円方図説」の内容は、

  • 「勾股各自乗,併之,為弦実。開方除之,即弦。」(原文)

解は、

  • 「勾」「股」は、直角三角形直角を挟んだであり、現代の数学ではで表されることが多い。
  • 「勾股各自乗,併之,為弦実。」は、

を指す。これは現代では勾股定理(ピタゴラスの定理)の公式として知られている。

  • 「弦」は、直角三角形の斜辺であり、現代の数学ではで表されることが多い。
  • 「開方除之,即弦。」は、平方根を導き出すことである。式としては、

を指す。

証明方法としては、

  • 「按弦図,又可以勾股相乗為朱実二,倍之為朱実四,以勾股之差自相乗為中黄実,加差実,亦成弦実。」(原文)

となっている。

  • これを式で表すと、

となり、整理すると、

となる。

参考文献[編集]

脚注[編集]