野狗子

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野狗子(やくし)とは『聊斎志異』の第1巻に収録された「野狗」に登場する妖怪であり、獣頭人身で死人の脳を吸うという[1]

概略[編集]

于七の乱[2]の後、死はありふれた物となった。主人公の李化竜は山奥に逃れたが官兵と遭遇してしまう。官兵に処刑されるのをおそれ、無数の死体に紛れて死んだふりをした[3]。やがて、獣の頭部と人間の胴体を持つ怪物が死体の上にやってきて、頭をかじり、脳味噌を吸った。李化竜は石を持って化け物の口を割り、化け物は逃げ、路上に大量の血を流した。その血のなかから見つかったのは、長さ四寸ばかりの怪物の歯で、中間はわずかに曲がっており、一方の歯は鋭くとがっていた。持ち帰って人に見せたが、誰も何も知らなかった。

関連項目[編集]

  • 創竜伝:野狗子が敵として登場する。頭は犬のものとされており、長い舌で脳を吸い取ると設定されている。

脚注[編集]

  1. ^ 『聊齋誌異』第一巻・野狗「有一物來,獸首人身,伏嚙人首,遍吸其腦。」
  2. ^ 順治年間に山東半島で起きた于七中国語版を指導者とした大規模農民反乱。発生から鎮圧まで15年の長きに及んだ。于七の本名は樂吾、字は孟熹。山東省棲霞県の人。
  3. ^ 官兵、つまり異民族征服王朝であるに対する作者の心情については、蒲松齢#人物参照。
  4. ^ 重田雄一 (2021年12月10日). “「SIREN」の外山圭一郎が率いるスタジオの新作ホラー『野狗子: Slitterhead』が発表!人間の脳みそを食べる怪物が登場?”. IGN Japan. (株)産経デジタル. 2022年2月17日閲覧。 “「野狗子(やくし)」という名前の中国の妖怪がいるらしい”
  5. ^ Daniel Robson (2021年12月17日). “鮮烈なデビューを飾った新作ホラー『野狗子: Slitterhead』はTPS視点のアクションアドベンチャーに!ディレクター外山圭一郎へメールインタビュー”. IGN Japan. (株)産経デジタル. 2022年2月19日閲覧。 “「野狗子」というのは、劇中で古典文学になぞらえて付けられる、彼ら怪物の総称です”

参考文献[編集]